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2007年07月26日

江戸の遺伝子

徳川宗家第十八代当主による書き下ろし「江戸の遺伝子」。滋賀に帰省した際に、母親から薦められて読み出した書籍です。余裕のあるときに少しずつ読むようにしていたため読了まで時間がかかりましたが、なかなかに含蓄のある本だったのでご紹介を。

著者の徳川恒孝(とくがわつねなり)氏は徳川将軍家の親戚筋にあたり、大学在学中の1963年に徳川家へ養子に入り、第十八代当主となった方です。「要は "自分の先祖は偉大だった" という話なのでは?」という先入観を持って読み出しましたが、さにあらず。著者は大学卒業後、日本郵船に就職し、最後は副社長から顧問を歴任された経歴を持つ方で、江戸以来の歴史的な縦軸と、日本郵船での勤務を通じて積み上げた国際的な経験という横軸が交差する独特の視座から、日本、そして世界について語った書籍でした。

そうはいっても基本はやはり「江戸がいかにすばらしかったか」という話ですから、一部に「言い過ぎでは?」と思う箇所もありました。しかし、おおむねなるほどと感心する内容になっていたのは、徳川氏が欧州にも米国にも在住経験を持ち、外国人とも一緒に仕事をするなど外の世界をきちんと理解してきたからこそでしょう。特に時代劇や時代小説が好きな人には当時の背景を整理するうえでもおすすめです。

また本書の特徴として、とかく脱線しがちだ、という点が挙げられます。しかもそれが面白いのですが、ひとつ引用してみると、

余談ですが前田さん(kuroyagi注:加賀前田家の子孫)は私の日本郵船の先輩で、随分昔ですが一時期同じ部署に配属されていたことがあります。「前田! 徳川! ちょっと来い!」と呼びつけたのは太閤様以来俺だけだ、とある副部長が言ったのは伝説です。
ですとか。まあ時間軸の長い壮大な冗談ではありますね。他になるほどなあと思ったのは、
アメリカの採用は会社として毎年何人を定期的に採用する、というものではありません。各セクションの長が自分の裁量で気に入ったスタッフを雇用するのが普通です。ですから少し放っておくと、前に働いていたところのお気に入りをゾロゾロと連れてきたりします。定期的にばっさり整理しないと大変なことになります
というくだりとか(あるある!)。また少し時間をおいて読み返してみたい、示唆に富む良書でした。


江戸の遺伝子—いまこそ見直されるべき日本人の知恵江戸の遺伝子—いまこそ見直されるべき日本人の知恵
徳川 恒孝

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投稿者 kuroyagi : 19:12

2007年07月24日

SEO SEM Technique vol.2

お知らせが遅くなりましたが、今月発売された翔泳社のムック「SEO SEM Technique vol.2 」にて新スポンサードサーチの特集を組んでいただきました。僭越ながらインタビューにも一部、協力しましたので興味のある方はご一読ください。ご取材いただいたN松さん、編集のM腰さん、ありがとうございました。ちなみに見どころは以下:

seo-sem-technique 2

申し訳ありませんが顔出しはNG ……ではなく、諸般の事情でこうなってます。

新スポンサードサーチ情報以外にも盛りだくさんな内容となっており、読み応えがあります。とりわけ、なかなか近況の聞こえてこないO 社とG 社以外の検索連動型広告についてインタビューが掲載されていたり、最近注目のモバイル検索に関する各社への取材などは興味深いところです。

一方で、検索エンジンマーケティングをメインに170ページというこれまでにないボリューム感ということで、(仕方のないことですが)内容にかぶりが見られることと、私が言うことでもないでしょうがSEO に関する書き手の力量がバラバラな気がします。

あと、一部の方が「SEO/SEM 」という表現をされているのも残念。インタビューでも指摘しましたが、検索エンジンマーケティング(SEM )の中にSEO や検索連動型広告といった個々の手法が入りますので、広告を指してSEM というと包含関係が乱れてしまいます。好き嫌いではなくて間違いでしょう。「SEO 対策」という表現と同じくらいよろしくないですね。

偉そうなことを書きましたが、テーマをSEM に絞っての雑誌ということで他にない誌面作りをされており、期待しています。今後ともよろしくお願いいたします。


SEO SEM Technique Vol.2SEO SEM Technique Vol.2
SE編集部

翔泳社 2007-07-03

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投稿者 kuroyagi : 07:28

2007年07月21日

FC バルセロナ vs. 横浜F-マリノス

そういえば少し前にチケットを買ったのでした、「横浜F-マリノス vs. FC バルセロナ」。8月7日(火)開催ということで、あと半月くらいに迫ってきました。楽しみです。横浜在住ではありますが、この日のお目当てはやはりバルサ。メッシびいきのヨメと二人で観戦する予定です。

FCバルセロナ戦チケット

せっかくの機会だから、とカテゴリー1のチケットを購入。発売開始に気づくのが遅かったためバックスタンド側の2階席ですが、日産スタジアムであれば問題なく観戦できることでしょう。

今回のツアーに関する特設サイトでは「アンリ、ロナウジーニョ、デコ、エトーのジャパンツアー参加が正式に決定した」と伝えています。ふむ。来季からの活躍が期待されるアンリですが、もしかして横浜が初披露? (その裏で、エトーの心境は……)。ロナウジーニョのプレイを実際に目にする貴重な機会でもありますが、なにげに私の叔父に似た風貌のデコも楽しみです。メッシは来られないのかな。将来の夢にスペイン移籍を挙げる野洲高校出身の乾貴士選手とのからみなんかも見てみたいところです。

ちなみにFC バルセロナの公式サイトは日本語版も用意されています。特にシーズン中は毎日のようにアップデートされており、かなりの充実度合い。ありがたいことです。

投稿者 kuroyagi : 09:51

2007年07月09日

アンリ・カルティエ=ブレッソン展

昨日、竹橋の国立近代美術館へ「アンリ・カルティエ=ブレッソン 知られざる全貌」を見に行ってきました。まだうまく消化できていませんが、行って正解でした。会期は8月12日までということですから、興味を持った方はぜひ足を運んでみてください。時間があれば帰りに皇居前の公園を散歩するのも悪くないですよ。

HCB.jpg

写真は、会場で購入したカタログ(1,800円ナリ)と絵はがき2点。アンリ・カルティエ=ブレッソンといえば、水たまりを飛び越える瞬間を切り取った「《サン=ラザール駅裏、パリ、フランス》 1932年」(左下の絵はがきのもの)が有名ですが、一方でロバート・キャパらとともに写真家集団「マグナム」を設立し、世界を飛び回る報道写真家でもありました。

今回の写真展では、日本を含むアジア各地やアメリカ、ロシア(ソヴィエト連邦)など各地での彼の仕事が多数紹介されていました。私がかつて旅した土地の写真も多く、こんなところまで足を運んだのかと感嘆しました。また画家など著名人のポートレイトを集めたコーナーがあり、被写体との独特の距離感はなかなかに研究の余地がありそうです。

なお、アンリ・カルティエ=ブレッソンは「ブレッソン」と略されることがままあるようですが、中黒とイコールの使い分けがされていることからも分かるように、姓が「カルティエ=ブレッソン」、名が「アンリ」なのでした。とはいえカタカナですべて表記すると文字数をとりすぎるためか、展覧会の解説では「Henri Cartier-Bresson 」の頭文字をとって「HCB 」と表記されていました。

もともとウジェーヌ・アッジェ(Eugène Atget)によって再び写真への興味が喚起され、同じフランスの写真家であるアンリ・カルティエ=ブレッソンを学んでみよう、と思った訳ですが、いよいよ面白くなって来たような気がします。

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投稿者 kuroyagi : 23:08