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江戸の遺伝子
徳川宗家第十八代当主による書き下ろし「江戸の遺伝子」。滋賀に帰省した際に、母親から薦められて読み出した書籍です。余裕のあるときに少しずつ読むようにしていたため読了まで時間がかかりましたが、なかなかに含蓄のある本だったのでご紹介を。
著者の徳川恒孝(とくがわつねなり)氏は徳川将軍家の親戚筋にあたり、大学在学中の1963年に徳川家へ養子に入り、第十八代当主となった方です。「要は "自分の先祖は偉大だった" という話なのでは?」という先入観を持って読み出しましたが、さにあらず。著者は大学卒業後、日本郵船に就職し、最後は副社長から顧問を歴任された経歴を持つ方で、江戸以来の歴史的な縦軸と、日本郵船での勤務を通じて積み上げた国際的な経験という横軸が交差する独特の視座から、日本、そして世界について語った書籍でした。
そうはいっても基本はやはり「江戸がいかにすばらしかったか」という話ですから、一部に「言い過ぎでは?」と思う箇所もありました。しかし、おおむねなるほどと感心する内容になっていたのは、徳川氏が欧州にも米国にも在住経験を持ち、外国人とも一緒に仕事をするなど外の世界をきちんと理解してきたからこそでしょう。特に時代劇や時代小説が好きな人には当時の背景を整理するうえでもおすすめです。
また本書の特徴として、とかく脱線しがちだ、という点が挙げられます。しかもそれが面白いのですが、ひとつ引用してみると、
余談ですが前田さん(kuroyagi注:加賀前田家の子孫)は私の日本郵船の先輩で、随分昔ですが一時期同じ部署に配属されていたことがあります。「前田! 徳川! ちょっと来い!」と呼びつけたのは太閤様以来俺だけだ、とある副部長が言ったのは伝説です。ですとか。まあ時間軸の長い壮大な冗談ではありますね。他になるほどなあと思ったのは、
アメリカの採用は会社として毎年何人を定期的に採用する、というものではありません。各セクションの長が自分の裁量で気に入ったスタッフを雇用するのが普通です。ですから少し放っておくと、前に働いていたところのお気に入りをゾロゾロと連れてきたりします。定期的にばっさり整理しないと大変なことになりますというくだりとか(あるある!)。また少し時間をおいて読み返してみたい、示唆に富む良書でした。
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投稿者 kuroyagi : 2007年07月26日 19:12