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野洲高校のサッカーについてもう少しだけ
#写真は先週、野洲に帰省した時のもの。左がJR野洲駅前のロータリー、右が野洲高校グランドのフェンスに掲出された横断幕です。
野洲高校の快挙から約2週間が経ちましたが、いまだにその余韻が覚めません。今回の全国高校サッカー選手権、3回戦は三ツ沢球技場で、準決勝と決勝は国立で観戦したのですが、スタンドから見ていて感じたことをいくつか。
【メンタルの強さ】
まず、ヨメも感心したように話していたのですが、野洲高校の選手はひじょうにメンタルが強い、といえるかと。決勝戦、下馬評では「野洲のサッカーが王者にどこまで通用するか」といった見方が多かったようですし、私も準決勝第1試合で鹿児島実業が見せたその鍛えられ方に「今回ばかりは難しいかも」と思いました。しかし野洲高校は前年度の覇者に対してまったく臆するところもなく自分たちのプレイをしていましたし、同点に追いつかれてもそこで気持ちを切らせることなく持ちこたえました。
【技術だけではなく】
加えて体力面でも決して見劣りはしませんでした。むしろ、延長に入って足がつってピッチに倒れ込んでいたのは意外にも鹿児島実業のほうでした。野洲高校が見せた予想外のプレイスタイルに、知らぬ間に体力を奪われていったのかもしれません。
またサポーターを大事にするところも彼らの特長といえるでしょう。決勝戦、同点ゴールを決めた鹿実の選手が走っていったのは自校のベンチでしたが、決勝ゴールを決めた12番・瀧川選手はバックスタンドの応援席へ向かって走ってきました。1点目を決めた後も、野洲高校の選手達はバックスタンドに向かって手を振ってましたね。スタンドにいると、あれは本当にうれしいものですよ、うん。
【ラフプレイの対極にあるスマートさ】
決勝戦に関しては、鹿実のエース・かこい選手(漢字が出てこない)が累積警告で出場できないことを惜しむ声が聞かれました。しかし個人的には、それも実力のうちではないかと思うのです。野洲高校が決勝戦を含む全6試合で受けたイエローカードの数は4枚、1試合平均では0.67枚です。対する鹿児島実業は2回戦からの登場のため全5試合でなんと9枚。1試合平均では1.8枚と野洲の3倍近い警告を受けている訳で、そもそも選手が出場停止となるリスクを織り込んで戦うべきプレイスタイルだったのかもしれません。
ちなみに野洲高校が受けたイエローカード4枚のうち1枚は、キーパーの下西選手が3回戦で受けたもの。ゴールキックを蹴るのに時間がかかったことを遅延行為と見なされたのですが、実際に見ていて、正直なところ疑問が残りました。すでに野洲高校は2−0でリードしており、しかし残り時間は20分程度あって、特に時間を使いに行くタイミングではなかったんですよね(その時間帯、高松商業に押し込まれてはいましたけど)。当日は風が強かったので、ボールが動いてしまって蹴れなかっただけではないかと思うのですが……
この下西選手、好セーブを連発して野洲高校の優勝に大きく貢献したと思います。私は見られませんでしたが、大阪朝鮮との試合では、彼がPKの1本目を止めたことも大きかったようです。大会後に発表された優秀選手に入らなかったのが不思議なほどですが、3回戦での警告が影響したとしたら残念です。
【最後に】
野洲高校が全国優勝したことで、滋賀県民や滋賀県出身者はほんとうに力づけられたのではないかと思います(ちと大げさかも)。野洲出身者にとっては、「出身は?」と聞かれて「やす」と答えればかなりの確率で「野洲」の文字を想起してもらえるようになったこと、分からない人には「こないだ高校サッカーで優勝したんですよ」とも付け加えられることがうれしい限りです。
滋賀県の高校サッカーは意外に激戦区で、来年も野洲高校が全国大会へ出場できるとは限りません。先週、滋賀に帰ったときにびわこ放送(略称はBBC!)で野洲高校サッカーの特番をやってましたが、「全国大会と滋賀県予選、どっちが苦しかった?」の問いに、スタジオの選手全員が「滋賀県予選」と答えていたほどです。ただ、スタメンのうち乾選手、荒堀選手(私の実家の近所に住んでるらしいです)、田中選手(次期キャプテン)は来年も残るので、来年も期待できそうです。
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投稿者 kuroyagi : 2006年01月21日 12:35